軽度認知障害(MCI)とは?認知症との違い
「最近、物忘れが多くなった気がする」「人の名前がなかなか思い出せない」…そんな経験はありませんか。年齢とともに多少の物忘れは誰にでも起こり得ますが、もしそれが日常生活に支障をきたすほどではなくとも、以前と比べて明らかに増えていると感じる場合、「軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)」の可能性があります。軽度認知障害(MCI)とは、健常な状態と認知症との中間にあたる状態を指します。記憶力や注意力、判断力といった認知機能の一部に低下が見られるものの、日常生活を送る上では大きな支障がない、というのが特徴です。具体的には、以下のような状態がMCIの定義として用いられることがあります。1. 本人または家族から、物忘れなどの認知機能低下の訴えがある。2. 年齢や教育レベルを考慮して、客観的な認知機能検査で何らかの低下が認められる。3. 日常生活動作(食事、入浴、着替えなど)は基本的に自立している。4. 認知症の診断基準は満たさない。MCIと認知症の大きな違いは、日常生活への支障の程度です。MCIの段階では、物忘れがあっても、ヒントがあれば思い出せたり、日常生活は何とかこなせたりすることが多いのに対し、認知症が進行すると、物忘れがひどくなり、日常生活を送る上で周囲の助けが必要になってきます。MCIは、必ずしも全ての人が認知症へと進行するわけではありません。適切な対応や治療を行うことで、認知機能の維持・改善が期待できたり、認知症への進行を遅らせたりすることができると言われています。そのため、MCIの段階で早期に気づき、適切な対策を講じることが非常に重要となります。