肛門科?皮膚科?おしりの近くのできもの受診先の選び方
おしりの近くにできものができた時、肛門科に行くべきか、それとも皮膚科に行くべきか、判断に迷うことがあります。どちらの科も「できもの」を扱いますが、得意とする領域や原因疾患が異なります。適切な診療科を選ぶためのポイントを解説します。まず、肛門科を受診した方が良いケースです。* できものが肛門の穴のすぐ近く、または肛門の内部にある場合: いぼ痔(内痔核・外痔核)や、肛門ポリープ、肛門皮垂(スキンタグ)などが考えられます。 * 排便時に出血や痛み、脱出(何かが出てくる感じ)がある場合: 痔の典型的な症状です。 * 肛門の周りが赤く腫れて痛む、熱を持っている、膿が出る場合: 肛門周囲膿瘍や痔ろうの可能性があります。これらは、放置すると悪化したり、複雑化したりするため、早期の専門的治療が必要です。 * 肛門にかゆみや違和感が続く場合: 痔や肛門掻痒症などが考えられます。次に、皮膚科を受診した方が良いケースです。* できものが臀部(おしりの肉の部分)や、肛門から少し離れた皮膚の表面にある場合: 粉瘤(アテローム)、毛嚢炎、せつ(おでき)、脂肪腫、あるいは虫刺されなどが考えられます。 * できものにかゆみ、赤み、湿疹、水ぶくれなどを伴う場合: 接触皮膚炎(かぶれ)、あせも、ヘルペス、帯状疱疹といった皮膚疾患の可能性があります。 * できものが徐々に大きくなっている、色や形が変化している場合: 良性腫瘍のことが多いですが、稀に悪性腫瘍の可能性も否定できないため、専門医による診断が必要です。もし、どちらの科か判断に迷う場合や、両方の可能性が考えられる場合は、まずはどちらかの科を受診し、医師の診察を受けてみましょう。必要であれば、適切な診療科へ紹介してくれます。また、総合病院であれば、肛門科と皮膚科が連携して診療にあたってくれることもあります。大切なのは、恥ずかしがらずに、勇気を出して医療機関を受診することです。早期発見・早期治療が、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復につながります。