軽度認知障害(MCI)の主な症状物忘れだけじゃない?


軽度認知障害(MCI)の最も代表的な症状は「物忘れ」ですが、実はそれ以外にも様々な認知機能の低下が見られることがあります。MCIの症状は、どの認知領域が主に障害されているかによって、いくつかのタイプに分類されることもあります。1. 記憶障害が主な症状(健忘型MCI): * 新しいことを覚えられない: ついさっき聞いた話の内容を忘れてしまう、約束や予定を忘れる、物をどこに置いたか分からなくなる、といった症状が現れます。ただし、ヒントがあれば思い出せることが多いのが、認知症との違いの一つです。 * 体験したことの一部を忘れる: 旅行に行ったことは覚えているが、どこへ行ったか、何をしたかといった詳細を思い出せない、など。2. 記憶障害以外の認知機能障害が主な症状(非健忘型MCI): * 注意力の低下: 注意が散漫になりやすい、集中力が続かない、二つ以上のことを同時に行うのが難しくなる、といった症状です。 * 遂行機能障害: 計画を立てて物事を順序だてて行うことが苦手になる、料理の手順を間違える、複雑な作業ができなくなる、といった症状が現れます。 * 言語機能の低下: 言葉がスムーズに出てこない、物の名前が思い出せない(失語)、話の内容が理解しにくくなる、といった症状です。 * 視空間認知機能の低下: 道に迷いやすくなる、物の位置関係が把握しにくくなる、図形を模写するのが難しくなる、といった症状が現れます。3. 複数の認知領域に障害が見られる場合(多領域MCI): 上記の複数の認知機能に軽度な低下が見られる状態です。MCIの段階では、これらの認知機能の低下が、日常生活に大きな支障をきたすほどではないのが特徴です。しかし、本人は「以前と違う」「何かおかしい」といった違和感を覚えることが多いと言われています。また、これらの認知機能の低下に加えて、意欲の低下、気分の落ち込み、不安感、イライラしやすいといった精神的な変化や、今まで興味のあったことに関心がなくなる、人付き合いを避けるようになるといった行動の変化が見られることもあります。これらのサインに気づいたら、早めに専門医に相談することが大切です。