ヘルパンギーナは、口の中に特徴的な水疱(水ぶくれ)や潰瘍ができる病気ですが、大人がかかった場合、子どもとは症状の現れ方や程度が異なることがあると言われています。一般的に、子どものヘルパンギーナは比較的軽症で済むことが多いのに対し、大人の場合は症状が重く、つらい経過をたどることがあります。まず、発熱についてです。子どもの場合は、38~40℃程度の高熱が2~4日程度続くのが一般的ですが、大人の場合は、さらに高熱が出たり、熱が長引いたりすることがあります。高熱に伴い、強い倦怠感、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛といった、インフルエンザに似た強い全身症状が現れることも少なくありません。次に、ヘルパンギーナの最大の特徴である口腔内の症状です。喉の奥(咽頭や口蓋垂周辺)に、小さな赤い水疱が多数現れ、それが破れて浅い潰瘍(口内炎)となります。この潰瘍は、非常に痛みが強く、食べ物や飲み物がしみたり、唾液を飲み込むだけでも激しい痛みを感じたりすることがあります。子どもの場合も痛みはありますが、大人の場合は、この痛みがより強く、長引く傾向があると言われています。食事や水分摂取が困難になり、脱水症状を引き起こすリスクも高まります。また、喉の痛みも、風邪の時とは比べ物にならないほど強く感じることが多いようです。声がかすれたり、出しにくくなったりすることもあります。さらに、大人では、下痢や腹痛といった消化器症状を伴うことも、子どもに比べて多いという報告もあります。これらの症状の現れ方や程度には個人差がありますが、大人のヘルパンギーナは、子どもよりも症状が重く、回復までに時間がかかることがあるということを理解しておくことが大切です。