シェーグレン症候群の治療は、残念ながら現時点では根本的に病気を治癒させる方法は確立されていません。そのため、治療の主な目的は、乾燥症状を和らげ、合併症を予防し、患者さんのQOL(生活の質)を維持・向上させることになります。治療は、主に膠原病内科またはリウマチ科の医師が中心となり、症状に応じて眼科や歯科・口腔外科、耳鼻咽喉科などと連携しながら進められます。まず、最も重要なのが乾燥症状に対する対症療法です。【目の乾燥(ドライアイ)に対して】 * 人工涙液の点眼: 涙の成分に近い点眼薬で、目の潤いを補います。防腐剤の入っていないものが推奨されることもあります。 * ヒアルロン酸点眼薬: 角膜の傷を修復し、保湿効果を高めます。 * ムチン分泌促進点眼薬・水分分泌促進点眼薬: 涙の質を改善したり、涙の分泌を促したりする新しいタイプの点眼薬です。 * 涙点プラグ: 涙の排出口である涙点を小さなプラグで塞ぎ、涙が目に溜まりやすくします。 * 治療用コンタクトレンズ: 重症のドライアイの場合に使用されることがあります。【口の乾燥(ドライマウス)に対して】 * 人工唾液・口腔保湿剤: スプレーやジェル、洗口液などで、口の中の潤いを補います。 * 唾液分泌促進薬(内服薬): 副交感神経を刺激して唾液の分泌を促す薬剤(ピロカルピン塩酸塩、セビメリン塩酸塩水和物など)が処方されることがあります。ただし、副作用に注意が必要です。 * こまめな水分補給: 少量の水を頻繁に飲むようにします。 * 保湿効果のあるうがい薬や歯磨き粉の使用 * 定期的な歯科受診と口腔ケア: 虫歯や歯周病を予防するために非常に重要です。関節痛や倦怠感といった全身症状に対しては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や、場合によっては少量のステロイド、あるいは免疫抑制薬などが用いられることもあります。また、漢方薬が症状緩和に役立つこともあります。治療は長期にわたることが多いため、医師とよく相談し、根気強く向き合っていくことが大切です。
シェーグレン症候群の治療法何科でどんな治療を?