おしりの近くにできものができ、それがかゆみを伴う場合、その原因は多岐にわたります。かゆみは非常につらい症状であり、掻き壊してしまうとさらに悪化する可能性もあるため、早めに適切な診療科を受診することが大切です。まず、肛門の周りがかゆく、赤いブツブツや湿疹ができている場合は、「肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)」や「肛門周囲皮膚炎」の可能性があります。これらは、便の刺激、下着のムレ、洗いすぎ、あるいはカンジダなどの真菌感染、アレルギーなどが原因で起こることがあります。この場合は、肛門科または皮膚科の受診を検討しましょう。次に、臀部(おしりの肉の部分)や太ももの付け根などに、赤い発疹や小さな水ぶくれができてかゆい場合は、「接触皮膚炎(かぶれ)」「あせも」「虫刺され」などが考えられます。下着の素材や洗剤、汗、あるいは虫などが原因となります。また、カンジダ皮膚炎や**白癬(はくせん:水虫菌の一種)**といった真菌感染症も、かゆみを伴う赤い発疹を引き起こすことがあります。これらの場合は、皮膚科を受診するのが適切です。皮膚科医は、視診や、場合によっては皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる検査(真菌検査など)を行い、原因を特定し、適切な塗り薬(ステロイド外用薬、抗真菌薬など)や内服薬(抗ヒスタミン薬など)を処方してくれます。**痔(特にいぼ痔や切れ痔)**がある場合も、炎症や刺激によって肛門周囲にかゆみが生じることがあります。この場合は、肛門科での治療が必要となります。さらに、稀ではありますが、**疥癬(かいせん)**というダニによる感染症も、おしりや陰部などに激しいかゆみを伴う赤いブツブツができることがあります。これは非常に感染力が強いため、早期の診断と治療が不可欠です。かゆみを伴うおしりの近くのできものは、自己判断で市販のかゆみ止めを塗るだけでは、原因によっては効果がなかったり、かえって悪化させたりすることもあります。まずは医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。