耳の後ろの腫れと発熱コロナ以外の可能性も


耳の後ろの腫れに加えて発熱がある場合、新型コロナウイルス感染症を心配する方もいるかもしれませんが、実際にはコロナ以外にも様々な病気の可能性が考えられます。発熱を伴う耳の後ろの腫れの原因として、まず一般的なのが急性リンパ節炎です。風邪やインフルエンザ、扁桃炎、中耳炎、歯周病といった細菌やウイルスによる感染症が頭頸部に起こると、その防御反応として、近くにある耳の後ろのリンパ節が炎症を起こし、腫れて痛みを伴い、発熱することもあります。原因となる感染症が治まれば、リンパ節の腫れや発熱も徐々に改善していきます。次に、子供に多いですが、**流行性耳下腺炎(おたふく風邪)も、発熱とともに耳の下から顎にかけての耳下腺が腫れる病気で、耳の後ろまで腫れが及ぶことがあります。片側だけ腫れることも、両側腫れることもあります。また、化膿性リンパ節炎といって、リンパ節に細菌が感染し、膿が溜まってしまう状態になると、高熱とともに強い痛みや赤み、熱感を伴うことがあります。この場合は、抗菌薬による治療や、場合によっては切開して膿を出す処置が必要になることもあります。皮膚の感染症である蜂窩織炎(ほうかしきえん)**が耳の後ろに起こった場合も、赤く腫れて熱を持ち、発熱を伴うことがあります。これは、皮膚の小さな傷などから細菌が侵入して起こる炎症です。その他、稀なケースとしては、伝染性単核球症(EBウイルスによる感染症で、発熱、喉の痛み、リンパ節の腫れなどが特徴)や、**菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)**といった、比較的若い女性に見られる原因不明のリンパ節炎なども、発熱とリンパ節の腫れを引き起こすことがあります。これらのように、耳の後ろの腫れと発熱の原因は多岐にわたります。症状が続く場合や、高熱、強い痛み、全身倦怠感などが伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが重要です。