おしりの近くのできもの放置するリスクとは
おしりの近くにできものができても、「恥ずかしいから」「そのうち治るだろう」と放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、原因によっては、放置することで症状が悪化したり、より深刻な状態に進行したりするリスクがあります。まず、細菌感染による炎症が悪化するリスクです。例えば、肛門周囲膿瘍や、せつ(おでき)、炎症性粉瘤といった細菌感染が原因のできものは、放置すると膿がさらに溜まり、腫れや痛みが強くなります。最悪の場合、細菌が血液中に入り込み、敗血症といった全身性の重篤な感染症を引き起こす可能性もゼロではありません。また、肛門周囲膿瘍を放置すると、慢性化して「痔ろう」という、肛門の内部と皮膚の間にトンネルができてしまう病気に進行することがあります。痔ろうは、自然に治ることはほとんどなく、多くの場合、手術が必要となります。**粉瘤(アテローム)**も、放置しておくと徐々に大きくなる傾向があります。大きくなると、見た目が気になるだけでなく、炎症を起こしやすくなったり、手術で摘出する際の傷跡が大きくなったりする可能性があります。また、ごく稀ではありますが、粉瘤が悪性化するという報告もあります。**痔(いぼ痔、切れ痔)**を放置すると、出血や痛みが悪化し、日常生活に支藩をきたすようになります。脱肛(肛門から痔核が飛び出すこと)がひどくなると、元に戻らなくなり、緊急手術が必要になることもあります。そして、最も注意すべきは、悪性腫瘍(がん)の見逃しです。おしりの近くにできるできものの中には、稀にですが、皮膚がんや肛門がん、あるいは他の部位から転移したがんである可能性も否定できません。特に、急に大きくなってきた、形がいびつである、出血しやすい、硬いしこりである、といった場合は、注意が必要です。これらのリスクを避けるためには、おしりの近くにできものができ、それがなかなか治らない、あるいは悪化していくようであれば、自己判断せずに早めに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが何よりも大切です。