おしりの近く、特に肛門の周りや臀部(でんぶ)に、ふとした時に「できもの」を見つけると、心配になりますよね。場所が場所だけに、なかなか人にも相談しづらく、どの診療科を受診すれば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。おしりの近くにできる「できもの」の原因は様々で、良性のものから、場合によっては治療が必要なものまであります。適切な診断と治療を受けるためには、症状やできものの状態に合わせて、適切な診療科を選ぶことが大切です。まず、最も専門的に肛門周辺の疾患を扱っているのは肛門科(こうもんか)です。肛門科医は、痔(いぼ痔、切れ痔、痔ろうなど)や、肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう:肛門の周りに膿がたまる病気)、そして肛門がんといった、肛門とその周辺に起こる様々な病気の診断と治療を行います。おしりの穴のすぐ近くにできものができたり、排便時の出血や痛み、膿が出るといった症状がある場合は、まず肛門科の受診を検討しましょう。次に、皮膚の表面にできものができている場合や、かゆみ、赤み、湿疹などを伴う場合は、皮膚科も選択肢の一つです。粉瘤(アテローム)、毛嚢炎(もうのうえん:毛穴の炎症)、せつ(おでき)、あるいはヘルペスや帯状疱疹といった皮膚感染症などが考えられます。皮膚科医は、視診や触診、場合によっては皮膚の一部を採取して検査することで、原因を特定し、適切な塗り薬や内服薬を処方してくれます。また、女性の場合で、外陰部に近い部分にできものができた場合は、婦人科の受診も考えられます。バルトリン腺嚢胞や外陰炎など、婦人科系の疾患の可能性も考慮する必要があります。どの科を受診すべきか迷った場合は、まずはかかりつけの内科医や総合診療科に相談し、症状を詳しく説明して、適切な診療科を紹介してもらうのも良いでしょう。大切なのは、自己判断で放置したり、市販薬だけで済ませようとしたりせず、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することです。
おしりの近くにできもの…何科を受診すべき?