甲状腺の病気は、様々な症状を引き起こす可能性があり、どの症状が最も顕著かによって、最初に相談しやすい診療科が異なる場合があります。もちろん、最終的には内分泌内科での専門的な診断が必要となることが多いですが、初期の窓口として考えられる診療科を症状別に見ていきましょう。1. 首の腫れ、しこり、圧迫感、飲み込みにくさ、声のかすれなどが主な症状の場合: * 受診する科: 耳鼻咽喉科または内分泌内科。 * 耳鼻咽喉科医は、首の腫れの原因となる他の疾患(リンパ節の腫れ、唾液腺の病気、喉頭の病気など)との鑑別も得意としています。超音波検査などで甲状腺の腫れが疑われれば、内分泌内科へ紹介されることもあります。最初から内分泌内科を受診しても問題ありません。2. 動悸、息切れ、手の震え、体重減少、多汗、イライラ、眼球突出などが主な症状の場合: * 受診する科: 内分泌内科または一般内科。 * これらの症状は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される「甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)」の典型的な症状です。まずは内科で相談し、血液検査で甲状腺ホルモン値を確認してもらうのが良いでしょう。その結果、甲状腺機能亢進症が疑われれば、内分泌内科での専門的な治療が必要となります。眼球突出がある場合は、眼科との連携も必要になることがあります。3. 倦怠感、むくみ、体重増加、寒がり、便秘、皮膚の乾燥、脱毛、気力の低下、物忘れなどが主な症状の場合: * 受診する科: 内分泌内科または一般内科。 * これらの症状は、甲状腺ホルモンの分泌が不足する「甲状腺機能低下症(橋本病など)」の典型的な症状です。症状が多岐にわたり、他の病気と間違われることもあるため、血液検査による甲状腺ホルモン値の確認が重要です。内分泌内科で適切なホルモン補充療法などが行われます。4. 健康診断で甲状腺の異常(ホルモン値の異常、甲状腺腫など)を指摘された場合: * 受診する科: 内分泌内科または、紹介状があればその指示に従いましょう。 * 自覚症状がなくても、検査で異常が見つかった場合は、専門医による精密検査と診断が必要です。これらの分類はあくまで目安であり、複数の症状が重なっていることもあります。どの科を受診すべきか迷った場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、医療機関の総合受付で症状を伝え、適切な診療科を案内してもらうのが良いでしょう。