内分泌内科とは?甲状腺疾患の専門医
「甲状腺の病気かもしれない」と感じた時、最も専門的な診療を受けられるのが「内分泌内科」です。あまり聞き馴染みのない診療科かもしれませんが、ホルモンに関連する病気を専門的に扱う重要な役割を担っています。内分泌内科とは、私たちの体内で様々な働きをする「ホルモン」を作り出す臓器(内分泌器官)と、そのホルモンの異常によって起こる病気を専門とする診療科です。内分泌器官には、甲状腺の他に、脳下垂体、副腎、膵臓(すいぞう)、性腺(卵巣・精巣)などがあり、それぞれが特定のホルモンを分泌し、体の成長や発達、代謝、生殖機能などをコントロールしています。甲状腺は、喉仏の下に位置し、甲状腺ホルモン(サイロキシン:T4、トリヨードサイロニン:T3)を分泌しています。この甲状腺ホルモンは、全身の細胞の新陳代謝を活発にする働きがあり、私たちの活動エネルギーを生み出す上で不可欠なホルモンです。内分泌内科医は、この甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる「甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)」や、逆に不足する「甲状腺機能低下症(橋本病など)」、そして甲状腺にできるしこり「甲状腺腫瘍(良性・悪性)」といった、様々な甲状腺疾患の診断と治療を行います。診断のためには、まず詳細な問診と身体診察(首の触診など)を行い、その後、血液検査で甲状腺ホルモン(FT3、FT4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)、自己抗体(TRAb、TgAb、TPOAbなど)の値を測定します。また、甲状腺の形や大きさ、しこりの有無などを調べるために、超音波(エコー)検査も重要な検査となります。必要に応じて、甲状腺シンチグラフィ(放射性ヨウ素を使って甲状腺の働きを調べる検査)や、穿刺吸引細胞診(しこりに細い針を刺して細胞を採取し、良性か悪性かを調べる検査)なども行われます。これらの検査結果を総合的に判断し、正確な診断を下し、薬物療法、アイソトープ治療、手術といった、個々の患者さんに最適な治療法を選択・提供するのが、内分泌内科医の役割です。