おしりの近くにできた「できもの」が、ズキズキとした痛みを伴う場合、それは何らかの炎症が起きているサインかもしれません。痛みを伴うできものは、日常生活にも支障をきたすため、早めに原因を特定し、適切な治療を受けることが大切です。まず、肛門のすぐ近くが赤く腫れて痛む、熱を持っているといった場合は、「肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)」の可能性があります。これは、肛門の内部にある肛門腺という小さな管に細菌が感染し、肛門の周りの組織に膿が溜まってしまう病気です。進行すると、強い痛みとともに発熱や倦怠感を伴うこともあります。この場合は、肛門科を受診する必要があります。治療は、膿が溜まっている場合は切開して膿を出す処置(切開排膿)が必要となり、その後、抗菌薬の内服などが行われます。肛門周囲膿瘍が慢性化すると、「痔ろう」というトンネル状の管ができてしまうこともあります。次に、おしりの皮膚の表面に、赤く腫れた痛いおできのようなものができた場合は、「せつ(癤)」や「よう(癰)」といった細菌感染による皮膚の炎症が考えられます。毛穴の奥にある毛包や皮脂腺に黄色ブドウ球菌などが感染して起こります。この場合は、皮膚科の受診が適しています。抗菌薬の塗り薬や内服薬による治療が行われます。また、粉瘤(アテローム)が炎症を起こした場合(炎症性粉瘤)も、赤く腫れて強い痛みを伴います。粉瘤は、皮膚の下に袋状のものができ、そこに角質や皮脂が溜まる良性の腫瘍ですが、細菌感染を起こすと急激に症状が悪化します。これも皮膚科で、抗生物質の内服や、場合によっては切開排膿が行われます。さらに、帯状疱疹が臀部や肛門周囲に発症した場合も、ピリピリとした神経痛の後に、赤い発疹や水ぶくれが現れ、強い痛みを伴うことがあります。この場合は、皮膚科またはペインクリニックの受診が必要です。抗ウイルス薬による早期治療が重要となります。これらのように、おしりの近くにできる痛いできものの原因は様々です。自己判断で市販薬を使用したり、無理に潰したりせず、まずは医療機関を受診し、医師の診断を仰ぐようにしましょう。
おしりの近くに痛いできもの考えられる病気と何科へ?