ヘルパンギーナと聞くと、主に乳幼児がかかる夏の代表的な感染症というイメージが強いかもしれません。確かに、ヘルパンギーナは、いわゆる「夏風邪」の一種として、保育園や幼稚園などで集団発生することが多い病気です。しかし、実はこのヘルパンギーナ、大人も感染することがあり、場合によっては子どもよりも症状が重くなることもあるため、注意が必要です。ヘルパンギーナの原因となるのは、主にエンテロウイルス属のウイルスです。代表的なものにコクサッキーウイルスA群があり、その他にもコクサッキーウイルスB群やエコーウイルスなどが原因となることもあります。これらのウイルスには多くの血清型が存在するため、一度ヘルパンギーナにかかったとしても、異なる型のウイルスに再度感染する可能性があります。これが、大人でもヘルパンギーナにかかる理由の一つです。過去に特定の型のウイルスに感染して免疫を持っていても、別の型のウイルスには免疫がないため、感染してしまうのです。主な感染経路は、「飛沫感染」「接触感染」「糞口感染」の3つです。飛沫感染は、感染者の咳やくしゃみ、会話などで飛び散ったウイルスを含む飛沫を吸い込むことで感染します。接触感染は、感染者の唾液や鼻水、水疱の内容物などに直接触れたり、ウイルスが付着したドアノブやおもちゃなどを介して間接的に触れたりすることで、手や指を介して口や鼻、目の粘膜からウイルスが侵入し感染します。糞口感染は、感染者の便の中に排出されたウイルスが、何らかの形で口に入ることによって感染する経路です。特に、おむつ交換の後や、トイレの後、食事の前などに手洗いが不十分だと、感染のリスクが高まります。大人がヘルパンギーナに感染するケースとしては、やはり家庭内感染が最も多いと言われています。子どもが保育園や幼稚園などでヘルパンギーナに感染し、その看病をする中で親が感染してしまうのです。
大人がヘルパンギーナに?その原因と感染経路