口の渇きが気になるなら歯科・口腔外科も(シェーグレン症候群)
シェーグレン症候群のもう一つの代表的な症状が、口の乾燥、いわゆる「ドライマウス」です。唾液の分泌量が減少したり、唾液の質が悪くなったりすることで、口の中がネバネバする、話しにくい、食べ物が飲み込みにくい、味が分かりにくい、舌がヒリヒリするといった様々な不快な症状が現れます。もし、このような口の乾燥症状が特に気になる場合は、歯科や口腔外科、あるいは耳鼻咽喉科を受診することを検討しましょう。これらの診療科では、口の乾燥の原因を特定し、シェーグレン症候群が関与しているかどうかを評価するための検査や、症状を和らげるための治療を受けることができます。歯科や口腔外科では、まず問診で口の渇きの程度や、それに伴う症状(食事のしにくさ、会話のしにくさ、味覚の変化など)を詳しく聞き取ります。そして、口腔内の診察を行い、唾液腺の腫れや、舌の状態、虫歯や歯周病の有無などを確認します。唾液の分泌量を客観的に評価するための検査としては、ガムテスト(一定時間ガムを噛んで出てくる唾液の量を測定する)や、サクソンテスト(ガーゼを一定時間噛んで、ガーゼに吸収された唾液の重さを測定する)などがあります。また、唾液腺の機能をより詳しく調べるために、唾液腺シンチグラフィという画像検査が行われることもあります。さらに、シェーグレン症候群の確定診断のために、口唇小唾液腺生検(こうしんしょうだえきせんせいけん)が行われることがあります。これは、下唇の内側の粘膜を小さく切開し、そこにある小唾液腺の組織を一部採取して、顕微鏡でリンパ球の浸潤の有無などを調べる検査です。歯科や口腔外科での治療は、主に乾燥症状を和らげるための対症療法と、口腔内環境の悪化を防ぐためのケアが中心となります。人工唾液や保湿剤(口腔保湿スプレー、ジェルなど)の使用、唾液分泌促進薬の処方、そして虫歯や歯周病を予防するための定期的な口腔ケア(クリーニング、フッ素塗布など)が重要となります。