足底筋膜炎の治療法保存療法と手術
足底筋膜炎と診断された場合、その治療は、基本的には手術をしない「保存療法」が中心となります。多くの場合、適切な保存療法を根気強く続けることで、症状は改善していきます。【保存療法】 1. 安静と活動量の調整: まず、痛みの原因となっている足底筋膜への負担を減らすことが最も重要です。痛みが強い場合は、ランニングやジャンプといったスポーツ活動を一時的に中止したり、長時間の立ち仕事を避けたりする必要があります。日常生活でも、できるだけ足に負担をかけないように工夫しましょう。2. ストレッチ: 足底筋膜やアキレス腱、ふくらはぎの筋肉を柔軟にするためのストレッチは、非常に効果的な治療法の一つです。足の指を反らせて足底筋膜を伸ばすストレッチや、壁に手をついてアキレス腱を伸ばすストレッチなどを、毎日継続して行いましょう。3. アイシング: 運動後や痛みが強い時には、患部を冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげる効果があります。ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオルで包んで15~20分程度、痛む部分に当てましょう。4. 靴の選択とインソール(足底装具): クッション性があり、足のアーチを適切にサポートしてくれる靴を選びましょう。ヒールの高い靴や底の薄い靴は避けるべきです。また、医師の指示のもと、個々の足の形に合わせたオーダーメイドのインソールや、市販のアーチサポート付きのインソールを使用することも、足底筋膜への負担を軽減し、痛みの改善に役立ちます。5. 薬物療法: 痛みが強い場合には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や湿布、塗り薬などが処方されることがあります。また、炎症が非常に強く、保存療法でなかなか改善しない場合には、ステロイド注射が検討されることもありますが、繰り返しの使用は腱を弱くするリスクもあるため、慎重に行われます。6. 物理療法: 整形外科やリハビリテーション科で、超音波治療や低周波治療、体外衝撃波治療といった物理療法が行われることもあります。これらの保存療法を数ヶ月から半年程度続けても、症状が改善しない、あるいは日常生活に大きな支障が出ているといった、ごく稀なケースでは、手術療法が検討されることもあります。手術には、足底筋膜の一部を切離する方法や、骨棘を切除する方法などがありますが、適応は限られています。