大人のヘルパンギーナ合併症に注意!
ヘルパンギーナは、多くの場合、数日から1週間程度で自然に治癒する病気ですが、稀に合併症を引き起こすことがあり、特に大人がかかった場合は注意が必要です。子供に比べて症状が重くなる傾向がある大人のヘルパンギーナでは、どのような合併症に気をつけるべきなのでしょうか。最も注意すべき重篤な合併症の一つが、中枢神経系の合併症です。具体的には、無菌性髄膜炎や、さらに稀ではありますが急性脳炎などが挙げられます。これらの合併症は、ヘルパンギーナの原因となるエンテロウイルスが、血液を介して脳や脊髄の周りの髄膜、あるいは脳そのものに感染することで起こります。症状としては、持続する高熱、激しい頭痛、繰り返す嘔吐、意識障害(朦朧とする、呼びかけへの反応が鈍いなど)、けいれん、項部硬直(首の後ろが硬くなり、前に曲げにくくなる)などが見られます。これらの症状が現れた場合は、生命に関わる危険性もあるため、速やかに医療機関を受診し、適切な検査と治療を受ける必要があります。また、稀な合併症として、心筋炎も報告されています。心筋炎は、心臓の筋肉に炎症が起こる病気で、胸痛や動悸、息切れ、不整脈、呼吸困難といった症状が現れることがあります。重症化すると心不全に至る可能性もあるため、注意が必要です。その他、急性膵炎や**溶血性尿毒症症候群(HUS)**といった、非常に稀ではありますが重篤な合併症も報告されています。これらの合併症は、いずれも頻度が高いものではありませんが、万が一の可能性として知っておくことが大切です。ヘルパンギーナの経過中に、普段と違う強い症状が現れたり、高熱が何日も続いたり、意識状態がおかしい、呼吸が苦しいといった異変が見られた場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診するようにしましょう。早期発見・早期治療が、合併症の重症化を防ぐためには不可欠です。