軽度認知障害(MCI)の診断何科を受診?検査は?
軽度認知障害(MCI)が疑われる場合、どの診療科を受診し、どのような検査が行われるのでしょうか。早期に適切な診断を受けることは、その後の対策や治療方針を立てる上で非常に重要です。まず、MCIの診断を専門的に行っているのは、神経内科、精神科(特に老年精神科)、あるいは物忘れ外来や認知症疾患医療センターといった専門医療機関です。これらの診療科では、認知機能の専門家が、詳細な評価と診断を行ってくれます。かかりつけの内科医がいる場合は、まずはそちらに相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。MCIの診断は、主に以下の検査や評価を組み合わせて行われます。1. 問診: 患者さん本人や家族から、いつからどのような症状(物忘れ、注意力の低下など)が現れているのか、日常生活への影響はどの程度か、既往歴や家族歴、生活習慣などを詳しく聞き取ります。2. 神経心理学的検査(認知機能検査): 記憶力、注意力、言語機能、遂行機能、視空間認知機能といった様々な認知機能を、質問紙や課題を用いて客観的に評価する検査です。代表的なものに、MMSE(ミニメンタルステート検査)や長谷川式認知症スケール、ADAS-Jcog(アルツハイマー病評価尺度)などがあります。これらの検査によって、どの認知領域にどの程度の低下が見られるのかを把握します。3. 画像検査: * 頭部MRI検査・CT検査: 脳の萎縮の程度や、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍といった他の脳疾患の有無を確認します。特にMRI検査では、アルツハイマー型認知症で早期に萎縮が見られやすい海馬などの状態を評価することができます。 * 脳血流SPECT検査・PET検査: 脳の血流やブドウ糖代謝の状態を調べることで、脳機能の低下の程度やパターンを評価します。アルツハイマー型認知症に特徴的な所見が見られることもあります。4. 血液検査: 甲状腺機能低下症やビタミンB12欠乏症など、認知機能低下の原因となり得る他の身体疾患を除外するために行われます。また、最近では、アミロイドβなどのバイオマーカーを測定する研究も進んでいます。これらの検査結果を総合的に判断し、医師はMCIの診断を下し、そのタイプ(健忘型か非健忘型かなど)や、背景にある可能性のある疾患(アルツハイマー型認知症の初期段階など)を推定します。