甲状腺の病気と診断された場合、適切な治療を受けることはもちろんですが、日常生活においてもいくつかの点に注意することで、症状のコントロールやQOL(生活の質)の維持・向上につながります。まず、定期的な通院と検査を欠かさないことが非常に重要です。甲状腺の病気は、多くの場合、長期的な管理が必要となります。医師の指示通りに薬を服用し、定期的に血液検査などで甲状腺ホルモンの状態や副作用の有無などをチェックしてもらうことで、病状を安定させ、合併症を予防することができます。自己判断で薬の量を変更したり、服用を中止したりするのは絶対に避けましょう。バランスの取れた食事を心がけることも大切です。特定の食品が甲状腺の病気を治したり、悪化させたりするという明確な科学的根拠は乏しいですが、全身の健康を維持するためには、栄養バランスの整った食事が基本です。ただし、ヨウ素の過剰摂取については注意が必要な場合があります。例えば、バセドウ病の治療中や、橋本病で甲状腺機能が不安定な場合など、医師からヨウ素制限の指示が出ている場合は、昆布や海藻類などのヨウ素を多く含む食品の摂取を控える必要があります。医師や管理栄養士の指導に従いましょう。十分な睡眠と休息をとり、ストレスを溜めないようにすることも、自律神経のバランスを整え、甲状腺機能の安定に役立ちます。甲状腺機能亢進症の場合は、体がエネルギーを過剰に消費している状態なので、特に休息が重要です。逆に、甲状腺機能低下症の場合は、倦怠感や無気力感が出やすいため、無理のない範囲で活動し、休息をしっかりとるようにしましょう。適度な運動も、体力維持や気分転換に効果的ですが、甲状腺機能が不安定な時期や、動悸・息切れなどの症状がある場合は、医師に相談し、運動の可否や種類、強度について指示を仰ぎましょう。禁煙も重要です。喫煙は、バセドウ病の発症リスクを高めたり、眼症を悪化させたりする可能性が指摘されています。これらの注意点を守り、医師とよく相談しながら、上手に病気と付き合っていくことが大切です。
甲状腺の病気と日常生活での注意点