シェーグレン症候群の主な症状である目の乾燥や口の乾燥は、他の様々な原因でも起こり得るため、正確な診断のためには、これらの疾患との鑑別が重要となります。自己判断せずに、適切な診療科を受診し、専門医による診断を受けることが大切です。まず、目の乾燥(ドライアイ)を引き起こす他の原因としては、以下のようなものが考えられます。 加齢: 年齢とともに涙の分泌量が減少したり、涙の質が変化したりします。 * 長時間のVDT作業(パソコン、スマートフォンなど): まばたきの回数が減り、目が乾燥しやすくなります。 * 空気の乾燥(エアコン、暖房など): 室内の湿度が低いと、目の表面から水分が蒸発しやすくなります。 * コンタクトレンズの装用: コンタクトレンズは涙を吸収したり、涙の安定性を損なったりすることがあります。 * 特定の薬剤の副作用: 抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、降圧薬など、一部の薬剤は涙の分泌を減らす副作用があります。 * 他の自己免疫疾患: 関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど、他の膠原病でもドライアイを合併することがあります。これらの場合、まずは眼科を受診し、ドライアイの原因を特定してもらうことが重要です。次に、口の乾燥(ドライマウス)を引き起こす他の原因としては、以下のようなものが考えられます。 加齢: 加齢に伴い、唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量が減少することがあります。 * ストレスや緊張: 精神的なストレスは、自律神経のバランスを乱し、唾液の分泌を抑制することがあります。 * 口呼吸: 鼻づまりなどで口呼吸をしていると、口の中が乾燥しやすくなります。 * 特定の薬剤の副作用: 抗ヒスタミン薬、降圧薬、利尿薬、抗うつ薬など、多くの薬剤が口渇の副作用を持っています。 * 糖尿病: 高血糖の状態が続くと、脱水傾向となり、口が渇きやすくなります。 * 放射線治療: 頭頸部への放射線治療は、唾液腺にダメージを与え、唾液の分泌を著しく低下させることがあります。これらの場合、歯科・口腔外科や耳鼻咽喉科、あるいは原因疾患によっては内科などが相談先となります。シェーグレン症候群の診断は、これらの他の原因による乾燥症状を除外した上で、血液検査や組織検査などの結果を総合的に判断して行われます。