数年前の夏、私は胸のあたりに数ミリ程度の小さな赤い斑点がいくつかできていることに気づきました。最初は、暑さによるあせもか、あるいは何かの植物にかぶれたのだろうと軽く考えていました。痒みも痛みも全くなかったため、市販の塗り薬を塗って放置していましたが、数週間経っても消えるどころか、少しずつ数が増えているような気がしました。ある日、風呂上がりに鏡をじっくり見てみると、その赤い点の中心から糸のように細い血管が周囲に広がっていることに気づきました。それはまるで小さな赤い蜘蛛が肌に張り付いているような奇妙な形をしていました。不安に思って皮膚科を受診したところ、医師から意外な言葉をかけられました。これは皮膚の問題ではなく、一度内科で肝臓の数値を調べたほうがいいというアドバイスでした。驚いてすぐに総合病院で血液検査とエコー検査を受けた結果、私に突きつけられた診断はアルコール性肝炎でした。当時、仕事のストレスから毎晩のように深酒を繰り返しており、私の肝臓は限界を迎えていたのです。医師の説明によれば、あの赤い湿疹は蜘蛛状血管腫と呼ばれるもので、肝臓がホルモンのバランスを調節できなくなった結果、血管が拡張して現れたものだということでした。もしあの時、皮膚科の先生が肝臓との関連を指摘してくれなかったら、私は自分の肝臓が壊れ始めていることに気づかぬまま、さらに深刻な肝硬変へと進行させていたに違いありません。それからの私は、断酒を決意し、食生活を根本から見直しました。治療を続けて数ヶ月が経つと、あんなに鮮やかだった胸元の赤い斑点は、不思議なほど徐々に薄くなり、やがて消えていきました。皮膚に現れた小さなサインは、まさに私の命を救うための肝臓からの最後のSOSだったのだと、今では確信しています。自分の身体が発する微かな声に耳を傾けることの大切さを、私はこの経験を通じて身をもって学びました。
私の体に現れた赤い湿疹と肝臓病の意外な関係