マイコプラズマ感染症と診断された時、そのつらい症状と並行して、多くの社会人が頭を悩ませるのが「仕事」の問題です。激しい咳と、倦怠感。こんな状態で、果たして仕事に行くべきなのか、それとも休むべきなのか。そして、もし休むとしたら、どのくらいの期間、休む必要があるのでしょうか。この判断は、法律上の規定と、社会人としての倫理的な責任、そして何よりも、自分自身の体を守るという、三つの視点から、冷静に考える必要があります。まず、法律上の観点から言うと、マイコプラズマ肺炎は、インフルエンザのように「学校保健安全法」で、明確な出席停止期間が定められている「学校感染症」には、分類されていません(ただし、地域や学校によっては、独自の基準で出席停止を指示する場合もあります)。したがって、大人の場合も、会社を休むことを法的に義務付けられているわけではありません。しかし、だからといって、無理して出勤することが、決して正しい選択とは言えません。次に、現実的な問題として、「就業可能か」という視点があります。マイコプラズマ感染症は、高熱や、激しい咳、そして強い倦怠感を伴うことが多く、そもそも、正常に業務を遂行できる状態ではないことがほとんどです。特に、接客業や、体力を要する仕事、あるいは高い集中力が求められる仕事に従事している場合、無理して出勤することは、業務上の重大なミスや、事故につながる危険性さえはらんでいます。そして、最も重要なのが、「周囲への感染リスク」という、社会人としての倫理的な責任です。マイコプラズマは、主に、咳やくしゃみによって飛び散る飛沫を介して、人から人へと感染します。あなたがオフィスで激しく咳き込むたびに、その病原体を、周囲の同僚へと、ばらまいている可能性があるのです。特に、オフィスのような、閉鎖された空間では、集団感染(クラスター)を引き起こすリスクも十分に考えられます。これらの点を総合的に考慮すれば、答えは自ずと明らかです。マイコプラズマ感染症と診断された場合は、「症状が軽快するまで、仕事は休むべき」です。具体的な休養期間の目安としては、少なくとも、熱が下がり、激しい咳の発作が治まるまでの、五日から一週間程度は、自宅療養に専念するのが賢明です。