激しい咳と高熱の嵐がようやく過ぎ去り、マイコプラズマ感染症の急性期の症状は、ほとんど治まった。しかし、なぜか、体の中から鉛のような重さが抜けきらない。少し動いただけでも疲れやすく、日中も、常にぼんやりとした倦怠感が続く。そんな、咳が治った後にも残る、原因不明の「だるさ」に、悩まされている方はいませんか。それは、決して気のせいではありません。マイコプラズマ感染症は、急性期の症状が治まった後も、しばらくの間、体に様々な後遺症のような不調を残していくことがある、非常に厄介な病気なのです。咳が治った後も、だるさが続く理由は、いくつか考えられます。まず、最も直接的な理由が、ウイルスや細菌との「戦いによる、体の消耗」です。高熱や、激しい咳は、私たちが思う以上に、大量の体力を消耗させます。特に、夜も眠れないほどの咳が続いていた場合、体だけでなく、精神的にも、極度の疲労状態に陥っています。病気は治っても、その戦いで負ったダメージが、完全に回復するまでには、相応の時間が必要なのです。いわば、体は「エネルギー切れ」の状態にある、と考えると分かりやすいでしょう。次に、咳そのものが体に与えた、物理的なダメージも影響しています。激しい咳き込みは、胸や背中、腹部の筋肉に、大きな負担をかけます。そのため、咳が治まった後も、筋肉痛や、体のこわばりが残り、それがだるさとして感じられることがあります。さらに、より専門的な視点からは、マイコプラズマ感染が引き起こした「過剰な免疫反応」が、すぐには正常に戻らず、体内で微弱な炎症がくすぶり続けることで、倦怠感という症状を引き起こしている、という可能性も指摘されています。この、感染後に続く倦怠感、いわゆる「感染後疲労」は、新型コロナウイルス感染症の後遺症としても、広く知られるようになりましたが、マイコプラズマ感染症においても、決して珍しいことではないのです。この、長引くだるさから回復するための、特別な治療法はありません。最も効果的な薬は、「時間」と「休養」です。病気が治ったからといって、すぐに元の生活ペースに戻ろうと焦らず、もうしばらくの間は、無理をせず、栄養のある食事と、質の良い睡眠を心がけ、体が完全に回復するのを、じっくりと待ってあげてください。