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多汗症で病院へ、何科で検査や診断を受ける?
多汗症の症状で病院を受診しようと考えたとき、どの診療科でどのような検査や診断が行われるのか、事前に知っておくと安心です。多汗症の診断と治療の第一選択となるのは皮膚科です。皮膚科では、まず詳細な問診が行われます。いつから、どの部位に、どの程度の汗をかくようになったのか、汗によって日常生活でどのような困りごとがあるのか、既往歴や家族歴、現在服用中の薬などについて詳しく聞かれます。特に、他の病気(甲状腺機能亢進症、糖尿病、褐色細胞腫、パーキンソン病など)や薬の副作用によって汗が増えている「続発性多汗症」の可能性を除外することが重要です。続発性多汗症が疑われる場合は、血液検査や尿検査など、原因疾患を特定するための追加検査が行われたり、内科などの関連する診療科への紹介が検討されたりします。特定の原因が見当たらない「原発性多汗症」と判断された場合、さらに症状の重症度を評価します。視診で汗の状態を確認するほか、客観的な評価方法として発汗テストが行われることもあります。代表的なものにヨード紙法(Minor法)があり、これは患部にヨウ素溶液を塗り、その上にデンプン粉を振りかけると、汗をかいた部分が黒紫色に変色するため、発汗範囲や程度を視覚的に把握できます。また、重量計測法といって、一定時間内にろ紙などで汗を吸収し、その重量変化で発汗量を測定する方法もあります。これらの検査は必ずしも全ての患者さんに行われるわけではなく、医師が症状や必要性に応じて判断します。診断の基準としては、原発性局所多汗症診療ガイドラインなどが参考にされ、明らかな原因がないにもかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの過剰な局所性発汗が6ヶ月以上持続し、さらに特定の項目(25歳以下で発症、左右対称性の発汗、睡眠中は発汗が止まる、週に1回以上の多汗エピソード、家族歴がある、日常生活に支障をきたす)のうち2項目以上を満たす場合に原発性局所多汗症と診断されます。診断が確定すると、医師は患者さんの症状の重症度、部位、ライフスタイル、希望などを総合的に考慮し、最適な治療法(外用薬、イオントフォレーシス、ボトックス注射、内服薬、手術など)を提案してくれます。まずは皮膚科を受診し、専門医に相談することが、多汗症の悩み解決への第一歩です。