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子供の多汗症、何科を受診すれば安心か
お子さんが他の子と比べて明らかに汗っかきだったり、手の汗で字が書きにくい、足の汗で滑りやすいといった様子が見られたりすると、親御さんとしては心配になるものです。「これはただの汗っかきなのだろうか、それとも何か病気なのだろうか」「病院に行くとしたら、何科を受診すれば良いのだろう」といった疑問が頭をよぎるかもしれません。子供の多汗症の場合、まず相談すべき診療科は小児科、あるいは皮膚科です。どちらを受診するかは、お子さんの年齢や症状、かかりつけ医の有無などを考慮して判断すると良いでしょう。まず、かかりつけの小児科医がいる場合は、最初に相談してみるのがスムーズです。小児科医は子供の成長発達や病気全般に精通しており、多汗症が他の病気の兆候ではないか(例えば、甲状腺機能亢進症や心臓疾患など、まれですが子供でも起こりうる病気)を総合的に判断してくれます。特に乳幼児や学童期低学年のお子さんの場合は、まず小児科で全体的な健康状態をチェックしてもらうのが安心です。小児科で診察の結果、特別な基礎疾患がなく、原発性の多汗症が疑われる場合には、小児科医から皮膚科を紹介されることもありますし、小児科の範囲で対応可能な治療(生活指導や軽度の外用薬など)が行われることもあります。一方、ある程度年齢が大きく、症状が皮膚に限局している場合や、以前から皮膚のトラブルで皮膚科にかかっているような場合は、最初から皮膚科を受診することも選択肢の一つです。皮膚科では、汗の量や日常生活への支障の程度を評価し、必要に応じて治療法を提案します。子供の多汗症治療では、まず生活指導(通気性の良い衣類を選ぶ、こまめに汗を拭くなど)や、刺激の少ない制汗剤の使用が基本となります。手のひらや足の裏の多汗症に対しては、塩化アルミニウム外用液が用いられることもありますが、皮膚への刺激に注意しながら慎重に使用されます。イオントフォレーシス療法も子供に対して行われることがありますが、じっとしている必要があるため、ある程度の年齢(一般的には学童期以降)で、本人の協力が得られる場合に限られます。ボトックス注射や内服薬、外科手術といった治療は、子供に対してはより慎重な判断が必要とされ、適応となるケースは限られています。